
塚本良則氏(1932年生まれ)は1957年3月に東京大学大学院修士課程を修了後,1957年4月東京大学付属愛知演習林助手,1961年12月に東京農工大学農学部講師に着任した.その後,1976年5月から1996年3月末まで農学部教授を務めた.その間,1989年には 「樹木根系の崩壊抑止効果に関する研究」で日本林学賞,1994年には「侵食谷の発達様式に関する研究」で日本農学賞を受賞し,さらに2007年には,瑞宝中綬章を受章した.
氏は,斜面水文学の黎明期に,斜面における水流出の研究において世界的な注目を集め,また水流の発生しない谷を0次谷と名付け,崩壊の繰り返しにより形成されるものであることを明らかにした.これらの研究は,温帯湿潤地域での水循環と地形変化の間の相互作用について世界で初めて議論したもので,世界山地の地形形成研究に大きな影響を与えた.その後は,林内雨の侵食に及ぼす研究,森林の根茎の崩壊に及ぼす影響等数々の重要なオリジナリティの高い研究をした.1996年には永年の研究成果を集大成した「森林・水・土の保全―湿潤変動帯の水文地形学」を刊行した.
また,日本地形学連合の創立にも尽力し,今日の地形学,特に水文地形学の基礎を築き,水文地形学の創始者といって過言ではない.
塚本良則氏に名誉会員の称号を献呈することは日本地形学連合の誇りとするところある.
文責:恩田裕一
地形31: 130
2009年10月3日推戴
