名誉会員:松倉公憲(MATSUKURA, Yukinori)

 松倉公憲先生(1946年生まれ)は,1976年3月に東京教育大学大学院理学研究科博士課程地理学専攻を修了された後,同年4月に東京教育大学理学部助手に採用され,1981年9月に筑波大学地球科学系講師,1988年3月に同大学地球科学系助教授を経て,1997年4月に同大学地球科学系教授に就任されました.その後,2010年に定年退職されるまで筑波大学に在籍し,プロセス地形学の教育・研究の発展に多大な功績を残されました.

 研究面では,1980年代から2000年代にかけての約30年間,日本におけるプロセス地形学の先駆的かつ主導的な役割を担われました.特に,野外で採取した岩石・土壌試料の物性測定に加え,岩石風化を中心とした膨大な室内・野外実験を精力的に実施されました.それらのデータに基づき,風化プロセスや地形変化予測に関する数多くの研究成果を挙げられ,その多くは地形学および応用地質学分野の国際誌に公表されました.これらの研究成果の多くは,筑波大学在籍時に指導された学生・大学院生との共同研究を通じて生み出されたものであり,優れた研究成果を創出するとともに,多くの地形学研究者を育成されたことも,松倉先生の特筆すべき功績の一つです.また,国際的な研究成果を挙げられる一方で,国内における地形学の普及・教育にも尽力されました.研究成果の集大成として,2008年には『地形変化の科学―風化と侵食―』(朝倉書店)を出版されました.また,学生・大学院生向けの教科書として『山崩れ・地すべりの力学:地形プロセス学入門』(筑波大学出版会)を刊行され,さらに2021年には,日本国内で初めてとなる本格的なプロセス地形学の教科書『地形学』(朝倉書店)を出版されました.これらの著作は,プロセス地形学の教育と普及に大きく寄与しています.

 日本地形学連合においては,2000年から2009年までの10年間にわたり編集主幹を務められました.編集主幹就任後は,機関誌『地形』の表紙にカラー写真を採用するとともに,秋季大会において会員へ積極的な投稿を呼びかけるなど,機関誌の活性化に尽力されました.さらに,2009年から2011年まで本会会長を務められ,日本地形学連合の発展に中心的な役割を果たされました.

 以上のように,松倉公憲先生は,プロセス地形学の研究を国際的に牽引するとともに,多くの優れた研究者を育成し,教育・普及活動や日本地形学連合の発展にも多大な貢献をされました.これらの顕著な功績に鑑み,松倉公憲先生を日本地形学連合名誉会員として推薦いたします.

文責:八反地剛
2026年9月26日推戴