竹下敬司氏(1929年生れ)は,九州大学で林学を学んだ後,福岡県林業試験場長を経て同大学に勤務し,退官をもって九州大学名誉教授となった.研究対象は,土壌の生成と侵食,降雨浸透能,流出解析,火山噴出物の堆積構造と地形発達,斜面の変化過程,樹木根系による斜面安定効果など多岐にわたり,地形学,砂防学,土壌学,水文学等を結びつけた研究を意欲的に行った.日本地形学連合の第2期(1981~1983)より委員として活動し,その後第4代会長を務めた(委員長,1985~1987).
氏は生物圏を含む地形学の発展と,それを応用した地形の見方を本連合に持ち込むことに大きく貢献した.また,1986年には,火山噴出物の堆積構造と地形発達の研究を軸にして,シンポジウム「九州における土砂災害の消長と広域火山活動」を開催したが,このシンポジウムは火山学,火山灰編年学,プロセス地形学,砂防学の研究協力を一段と発展させることとなった.成果は「地形」第8巻第3号特集「広域火山活動と土砂移動」としてまとめられている.
氏はまた,豪雨災害など多くの現実的問題を解決するための研究にも意欲的に取り組んだ.1953年,1959年に発生した九州北部での豪雨災害に対し,森林地帯の土壌生成理論に基づいてなされた土砂災害予測の研究「地形的災害と斜面の微地形に関する森林立地学的研究」(福岡県林業試験場時報13号,1961)を発表したが,示唆に富むこの研究は今日でもよく引用されている.最新の研究成果としては,「山と森と土と水」((財)福岡県水源の森基金、2001)が刊行されている.
竹下敬司氏に名誉会員の称号を献呈することは日本地形学連合の誇りとするところである.
文責:徳永英二
地形26:353
2005年5月14日推戴
