砂村継夫先生(1941 年東京都生まれ)は,1964 年に東京教育大学理学部地学科地理学専攻を卒業された後,日本テトラポッド株式会社(現・不動テトラ)に入社された.同社退社後の 1967 年に東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻に進学され海岸工学を学び,1972 年に同研究科に博士論文「Coastal cliff erosion and its engineering significances」を提出され,工学博士の学位を授与された.その後,東京大学工学部土木学科助手(1972~1978 年),筑波大学地球科学系助教授(1978~1987 年),同教授(1987~1996 年)を経て,1996 年に大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻に教授として移籍され,2004年に定年退職された.その間,永年に渡って地形学の研究・教育に携わり,多数の人材を育成し,地形学とその隣接研究分野の発展に尽力された.退職後も精力的に研究活動を続けられている.
砂村先生は,「現実に生起している地形変化を把握し,その変化過程を力学的に考察し,定量化された普遍性を見出すこと」を目標に,主に海岸地形を対象とした研究を推進されている.野外調査や造波水路を用いた室内実験および理論的解析にもとづき,海岸に発達する各種地形の規模や形成と消滅の条件,地形変化の量や速度を定量的に求められている.たとえば,岩石海岸においては,様々な岸沖方向の断面形態について,それらを幾つかのタイプに区分し,各タイプの出現は波の侵食力(波圧)と岩石の抵抗力(岩石強度)との関係で決まることを明らかにし,変化速度がこれら二つの要因で記載できることを示された.岩石海岸の地形を体系的にまとめた「Geomorphology of Rocky Coasts」(1992年:Wiley)は岩石海岸の研究者・学生の必読の本であろう.砂浜海岸についても,砂蓮のような微地形から砂州やトンボロのような比較的規模の大きな地形,さらには水面下の地形から水面上に顔を出している地形のほとんどすべてに関して,波や沿岸流などの営力と海岸堆積物の特性とで示される多くの地形学公式を提唱されている.これまでの研究成果は多数の著書,論文,報告書にまとめられている.砂村先生は「地形」誌への投稿論文数が突出する著者の一人でもある.
砂村先生は日本地形学連合の創立初期から委員に選出され,編集幹事やデータベース幹事として活動し,さらに抄録主幹(1981~1989 年),企画主幹(1993~1995 年),渉外主幹(1997~1999 年,2003~2005 年)などを歴任された.特に 1989~1993 年には編集主幹,1994~1995 年にも編集主幹代理として「地形」の編集発行の重責を果たし,2001~2003 年には第 12 代会長を務められた.さらに「地形の辞典」(2017 年:朝倉書店)の責任編集者の一人として,膨大な作業をこなされた.このように,砂村先生は日本地形学連合の発展のために大きく貢献された.
以上のことから,砂村継夫先生を日本地形学連合の名誉会員に推挙いたします.
文責:武田一郎
2019年11月8日推戴
