徳永英二先生は,北海道大学理学部地球物理学科を 1963 年にご卒業され,さらに北海道大学大学院理学研究科地球物理学専攻修士課程を 1965 年に修了された.その後,東京都立大学に移られ,さらに中央大学経済学部で長く教鞭をとられた.この間に,スウェーデンのウプサラ大学への留学および同大学での海外研修をされており,スウェーデンの研究者との交わりは非常に深いものになっている.中央大学を定年退職されたのちは,中央大学の名誉教授になられた.
学問的には,水系に関する理論的研究を多くなされてきた.現在,世界で Tokunaga branching statistics, Tokunaga cyclicity, Tokunaga self-similarity などと呼ばれているものは,すべて徳永先生の水系研究に基づいたものである.徳永先生の一連の研究は,修士課程在学中に北海道,豊平川流域の水系を用いて Horton の第 1 法則の検討をしたところから始まる.この中で,高次の水路になるほど Hortonの法則から逸脱する傾向があることを見出し,それを解決するために「n 次の水路に直接流入する m 次の水路の数」「n 次の水路が持つ m 次の支流の総数」という 2 つの量を導入された.それにより表現されるさまざまな法則性が,後に Tokunaga self-similarity などと呼ばれるものになった.そしてこの考え方は,自己相似を考えるさまざまな科学に応用されている.
日本地形学連合では設立当初より積極的に学会運営に関わってこられた.大学院生を含む若手研究者にも親しく声を掛けられ,若手の成長を喜んでくださった.2003 年から 2005 年には会長を務められた.この徳永先生の会長在任時,日本地形学連合は大きな危機に直面した.2003 年には,日本地形学連合が主体となって英文科学雑誌を Springer 社から出版することが決定され,その準備を主導されていた.ところが 2004 年夏に日本学会事務センターが破産する事件が発生した.日本地形学連合も会費徴収等の会員管理業務を学会事務センターに委託していたため,この春から夏までに学会事務センターに入金していた会費を回収できなくなった.英文誌の発行も断念せざるを得なくなった.この年の 8 月に中央大学で開催された臨時委員会で,徳永会長の英断により,日本地形学連合がこの問題と積極的に向き合うこと,他学会のとりまとめ等の労も惜しまないことが決定され,その後の処理にあたっていった.この秋には徳永先生は入院して手術を受けられることになったが,その直前まで,まさに多くの学会の先頭に立って,この問題処理にあたられていた.このご努力があったからこそ,日本地形学連合はこの危機から立ち直ることができたといっても過言ではない.
以上のことから,徳永英二先生を日本地形学連合の名誉会員に推挙いたします.
文責:倉茂好匡
2019年11月8日推戴
