名誉会員:鈴木隆介 (Takasuke Suzuki)

鈴木隆介先生は,1964年に東京教育大学大学院理学研究科博士課程を修了され,1966年4月に中央大学理工学部地学教室の講師に着任されました.1968年に助教授,1973年に教授を経て,2007年に同大学理工学部を定年退職されるまで,同大学にて土木工学等の学生達に,地形工学,地質工学,地学,地学実験などの講義をされつつ,地形学の重要性を唱えられてきました.また,1993–1997年に理工学部長,1995–2003年に選任評議員,1996–1999年に理事,2003–2007年に大学院理工学研究科防災危機管理工学副専攻教授,2004–2005年に副学長,産学官連携・知的財産戦略本部長を歴任されるなど,要職を歴任されました.

研究面では,博士論文にて「飯縄火山の地形学的研究 : 特に古い火山体の沈下機構について」をご執筆されるなど,初期には火山地形学を精力的にご研究され,後に岩石や岩盤の風化・侵食に関する研究を中心に地形学全般にわたる研究を進められました.秩父盆地における河成段丘崖の斜面発達や各地に分布する段丘の構成岩盤の風化速度,荒崎海岸や宮崎県青島における波状波蝕棚の風化侵食過程,蛇紋岩の風化速度などの研究を進められ,その業績は数えるに余りあります.また,総説論文としては「ロックコントロールの研究小史」,”Geomorphology in Japan”,「地形学から工学への提言」などをまとめられ,地形学公式についても広く提唱されました.

鈴木先生は誰彼となく,学びたいと思う者を拒まず,迎え入れてくださいました.私自身も鈴木先生の研究室で毎月1回開催されていた「第2土曜会」での勉強会に参加するようになり,地形学の道を目指す転機となりました.鈴木先生に若い頃に影響を受けて今がある,という研究者は少なくありません.「測量」誌にまとめられた地形図読図についての連載は,地形学者以外からも高く評価され,1977年に読者賞を受賞されています.その後,これを4巻組の本としてまとめられた「建設技術者のための地形図読図入門」は,地形学研究者のみならず,応用地質学や土木工学の研究者・技術者達にも広く読まれています.

学会活動においては,1979年の地形学連合の創立に尽力され,1980–2001年の20年間を超える長い期間,委員を務められました.うち,編集主幹を1980–1989年,企画主幹を1989–1991年,渉外主幹を1991–1993年,会長を1993–1995年に務められています.2001年に中央大学で行われた第5回国際地形学会議では,組織委員会委員長を務められ,大会成功に大きく貢献されました.

鈴木先生は国際的な場でも大変ご活躍されています.1989年にフランクフルトで結成された国際地形学会IAG: International Association of GeomorphologistsではPublication officer (1989–1993年),Elected member (1993–1997年),Co-opted member (1997–2001年) 等の重責を果たされました.そして2009年,メルボルンで開催された第7回国際地形学会の折には,長年の先生の地形学への学問的貢献および国際地形学会への貢献が広く認められ,国際地形学会名誉会員(Fellow) の称号が授与されました.以上のように鈴木先生は,今日にいたるまで,日本のみならず世界の地形学全般の牽引車的存在であり,地形学史に残る重要な研究者のお一人であります.

以上のことから,鈴木隆介先生を日本地形学連合の名誉会員に推薦いたします.

文責:小口千明
2016年10月8日推戴